レーシングチームの一員として。WAKO'Sの挑戦。

エンジニア歴25年の伊藤宗治氏率いるレーシングチーム「Arnage Racing(アルナージュ レーシング)」。WAKO'Sは2014年の1年間、SUPER GTシリーズ GT300のステージでこのチームに参加し、共に戦って参りました。

SUPER FORMULAレースや全日本ラリー選手権ほかさまざまなレースに参加するチームへ、技術サポートとして参加しているWAKO'S。GT300のステージではまさに”Challenge with You”の企業コンセプトにマッチしたチームと出会い、共に戦い、手応えのある一年となりました。

GT300のチームの中でも独特の存在感を持つアルナージュレーシング。チームメンバー、ドライバー共に技術力の追求に飽くなき意欲を燃やし、あらゆる状況に打ち勝つ技術と”熱”を持つメンバーが揃っています。
技術屋の極みとタッグを組んだWAKO'Sの挑戦。今年一年を振り返り、2014年に得る事が出来た成果を振り返ります。

対談メンバー

Arnage Racing代表 伊藤 宗治氏(以下 伊藤氏)
Arnage Racingチーム統括 松本 和美(以下 松本氏)
 
WAKO'S モータースポーツ事業部 小林 哲(以下 小林)
WAKO'S モータースポーツ事業部 山﨑 雄児(以下 山﨑)
WAKO'S 技術部 潤滑油開発グループ 和田 岳広(以下 和田)

今年1年の収穫は。リアルな現場で活きる技術力

小林:今年一年、アルナージュレーシングさんと共にGT300のレースに参加出来た事は、大変大きな収穫でした。伊藤さんはいかがでしたか?

伊藤氏:そうですね。沢山の収穫がありました。まずスタッフのスキルアップに大いに役立ちました。自分たちが意外に知らない事も多いケミカルやオイルに関する知識が得られたましたし、技術的なフォローは本当にありがたいですね。
レースに関わる人間は、どんな人でもスキルを高める事に熱心です。そこに今回のように技術のフォローがあると貪欲に吸収しようとする。そういった意味でもすごくプラスになりました。

小林:我々も、広告宣伝という意味では常にさまざまな形を模索していますが、どのような方にWAKO'Sを知っていただくか、WAKO'Sが造り上げた技術をどのように伝えていこうかという時に、弊社モータースポーツ事業部の山﨑から伊藤さんの話を聞きまして。
WAKO'Sの原点は「現場主義」なのですが、現場で何が起きているか、そしてそこでケミカル、油脂というものに何が出来るのか。現場で実際に使われる方と1年かけて沢山の事を確認する事が出来たのは非常に収穫でした。
 


チームとスポンサーとの関係。「一緒にレースを楽しむ仲間」を目指す。

小林:伊藤さんはかつて優勝する事を義務づけられたいわゆる”強いチーム”で、その使命を実行するという事を経験されていますよね。今回ご一緒出来た事は、沢山の経験をさせていただき、我々のスキルも底上げしてくださった。この経験は本当に今後の力になるものでした。

伊藤氏:それはありがたい話しですね(笑)
それは本当にチームにとっても嬉しい事で、お互いの技術力アップはもちろんですが、スポンサーさんという部分で言えば売上が上がらないと何の意味も無い訳で、でもレースというものは今はそんな所には無くて。ではスポンサーさんにチームとしていったい何ができるんだろうと考える訳です。
アルナージュレーシングは他のGT300のチームに比べると資金力も少ないですし、結果を出しにくいチームです。簡単に行ってしまえば、宣伝効果をあげるほどの還元は出来ないのではと考えていました。

でも、その分だけの楽しみは感じてもらえればと思っています。
純粋に楽しむ事はもちろん、知識、技術が向上する楽しみ、そしてWAKO'Sさんに関わる方がGT300のおもしろさにふれる機会とかね。
社員の方だって、自分たちの商品が実際のレースで使われている事を知る事とか、技術部の方であればレースの現場で一緒に試行錯誤したり。


順位として勝つ事だけに執着するならば、気になる所があるものはオイルにしろ何にしろやめてしまえばいいかもしれません。でもやめればもとに戻るだけだからね。
例えば今うちはブレーキパッドについてまだ試行錯誤しているけど、無理だと思ったら経験からのパッドに変えてしまう事も出来る。でもそれじゃおもしろくないんだよね。技術屋としてはいろいろ比較したり試したり、昔の条件ではなくて今の条件を作り出して走りたいですよね。

モバイルラボの力を現場で発揮。

小林:今年は一年間、モバイルラボを帯同させて現場での分析も行えました。サーキットで継続して活用できた実績はかなり大きかったです。

伊藤氏:あんな事が出来るのは、今日本の油脂メーカーだと和光ケミカルさんだけですよね。
あれはすごいですよ。毎月健康診断してもらってるようなものだ。あの分析で出た結果は不安要素と解決策を示してくれる。モバイルラボの意味合いを理解して活用出来る事は、俺はすごくたのしい(笑)。
人間だって健康診断で出た数値で体調の傾向をつかんだりすれば対策も打てる。壊れるまで放っておく事は無いよね。車だってこのままではまずいとか、どんな傾向は出てるとか掴めるっていうのは本当にすごい事だ。
 
小林:思い返せば2014年の初戦の時に、摩耗が少し進んでる事がわかって、その摩耗が振動による摩耗という事をうちの技術部が解析しましたよね。で、エンジンマウントを調べてみたらそこがちょっとゆるい。これじゃないかって・・・。


伊藤氏:そう。そういう解析結果を見ながら、エンジニアはそれに合わせた状態になおして行く事が出来る。傾向がつかめれば対策が打てるんですよ。壊れない事を基準にやっている中で不安要素を消して行く事は重要で、それには大いに役立ちましたね。俺はモバイルラボ好きですよ。最初に本社の分析室を見せてもらったときもすごいと思ったけど。
 
現実論でいうとモバイルラボを動かす事は経費もかかるだろうと思うけど、和光ケミカルさんはそれを許す会社ってことだよね。


挑戦は進歩。技術力で認め合う事が出来た最高のチームメイト

伊藤氏:今年一緒にレースを行う前は、和光ケミカルという企業に対して知らない部分も多かったので。お話が上がった時は正直よくわからなかったんです。オイルも使ってなかったですし、でもいただいた話しは美味しかった(笑)
 
小林:我々も、広告宣伝とは違う意味合いでのタッグという事で、挑戦でもありました。
自分も伊藤さんをまだよく存じ上げなかった時でしたし、チーム自体も設立からまだ1年という若いチームでしたし。ゲイナーさんと長く組んでやっている事もあったので。
 
伊藤氏:わかります。うちもそう思いました。どこでもいいのかいみたいな(笑)。最初にモータースポーツ事業部の山﨑さんが来られた時はなんの冗談だろうと思った(笑)。それくらい和光ケミカルさんとは疎遠でしたからね。
 


小林:山﨑が、伊藤さんのバックボーンや考え方や活動などを熱心に話しまして、大丈夫だと、このチームとやるべきだという事をずっと言っていたんです。
我々も何かをしたい。挑戦をね。WAKO'Sカラーを看板にというのは頭にあったのですが、出来上がっている車にWAKO'Sカラーでやって何をアピールできるのかわからなかった。
チャレンジウィズユーという"共に戦う"という我々の原点を考えた時、WAKO'Sカラーで打ち出して行くからには、人とのつながりやものづくりを一緒に行う事、そのチームに寄り添って安心して戦って頂ける事、そこに特化しようという事での決断でした。結果、本当によかったと感じています。
 
伊藤氏:アルナージュレーシングは目指す所が優勝という所ではなくて、自分たちのスキルを上げる事、そこに自分たちは価値を見出している。自分達に勝とう、全てに甘える事無く、やるときはやる。やるべき時にちゃんと戦おうというチームです。そういう部分でも考え方はしっかりしています。昨年の年末に本社へ見学に伺ってよかったと思ってますよ。行っておいてよかった。すごくきちんとした会社だって思ったのを覚えてます。


本社ラボの見学。そして最強タッグへ。

伊藤氏:正直、こんなオイル屋さん見た事無いって思いました。本当におもしろかったし、売ってるだけかと思ってたけど、日本のオイル屋さんってそういうの多いしね。でも技術で押してるんだなってわかってから俄然興味が湧きました。技術で押してくるなら、こっちだって技術でつきあえる。モバイルラボの話を聞いた時も、ほんとにそんなの来てくれるの?って思いましたよ。
パーツを交換してそのまま走らせるみたいなチームにはしたくないって思っていますし、何か問題が起きた時に、原因を見つけて解決し、あるもので完走できる状態をつくりあげたい。

小林:伊藤さんが弊社に来られた時、開口一番「うちは勝てるチームではございません。最初にお断りしておきます」って宣誓にも似た言葉がありましたよね。
 
伊藤氏:事実で勝負したいんですよ(笑)。チームはオイルも同じだとおもいますけど見た目や評判じゃ解らないですよ。使ってみないとね。アルナージュレーシングの考え方を解っていただければ幸せだなって思っていたんです。だからあれは正直な気持ちで(笑)。ラボを見せていただいて話しをして、それぞれいろいろな方が説明をしてくださって。


アルナージュレーシングのスタッフは皆、新しい技術を受け入れる柔らかさがあります。古いやり方に固執したり、変な固定概念にとらわれる事もありません。だからメカニックとはもっともっと話しをしてほしいし、メカニックだっていままでやって来た経験からの事や知識は伝えられるし。

チームのアイコン「アストンマーチン」にWAKO'Sカラーを。

伊藤氏:サポートの話にも驚いたけど、車のカラーリングにも驚きましたよ。
もともとのWAKO'Sカラーかと思ったけど斬新だったよね。すごくやわらかな感覚で行くんだなと思いました。
 
小林:これでWAKO'Sをイメージ出来たというのは成功でした。
 
松本氏:レーシングカーには実力も歴史も必要な中でのこのフルカラーですからね。チーム選びもカラーリングも思い切りましたよね(笑)驚きましたけど、ファンの子たちからも好評でしたよ。
 
▲アルナージュレーシングのマシン アストンマーチンVantage GT3。イギリスのラグジュアリーカー独特のフォルムを持つこの車は2014年、WAKO'Sカラーで一年間サーキットを走り抜けた。
2014年は8戦中7戦完走を果たし、うち3戦は10位以内入賞でポイントを獲得。どんなトラブルに遭遇しても必ず本番にはその姿を現す粘り強さが愛されている。



アルナージュレーシング
三重県四日市市をホームに活躍するレーシングチーム
代表の伊藤宗治氏はエンジニア歴25年。数々のチームで経験を積み、チーフエンジニア、監督として活躍。2013年にアルナージュレーシングを結成し、少数精鋭の技術屋チームとしてどんなトラブルも切り抜ける抜群のチーム力を誇る。

オフィシャルHP:http://www.arnageracing.com/